Email Tracker

メールのトラッキングピクセルの仕組みをやさしく解説

トラッキングピクセルとは何か、開封のリクエストから何がわかり何がわからないのか、メールアプリによって結果が変わる理由まで解説します。

解説 · · 読了時間1分

今朝送ったメールが午後2時14分に開封されました、とアプリが教えてくれる。その正体は、目に見えない1枚の画像です。相手のメールボックスに通じる秘密の経路があるわけでも、相手のメールプロバイダが協力しているわけでもありません。この記事では、トラッキングピクセルとは何か、正直なところ何を教えてくれるのか、そして同じメールでもある相手にははっきりした結果が出て、別の相手ではまったくの沈黙になるのはなぜかを説明します。

トラッキングピクセルの正体

トラッキングピクセルとは、メールの中にウェブアドレスで参照される、ごく小さな画像ファイルです。欧州データ保護会議(EDPB)はePrivacy指令の技術的適用範囲に関するガイドライン2/2023の中で、これをウェブサイトやメールといったコンテンツに埋め込まれた、通常は画像ファイルであるリソースへのハイパーリンクだと説明しています。英国の情報コミッショナーオフィス(ICO)も、ストレージおよびアクセス技術に関するガイダンスでほぼ同じ説明をしており、トラッキングピクセルをウェブサイトやメールに埋め込まれた小さなコード、通常は画像ファイルと呼んでいます。

画像はふつう透明で、大きさは1ピクセルほど。メッセージの中に見えない形で収まっています。デザイン上の役目はありません。EDPBの言い方を借りれば、その唯一の目的は、本来なら起こらないはずの通信を、クライアントからピクセルのホストに対して自動的に発生させることです。

メールが開かれた瞬間に何が起きるか

メールアプリがメッセージを表示するとき、そのメッセージが参照しているリモート画像をすべてダウンロードします。トラッキングピクセルもその1つです。このダウンロードはごく普通のウェブリクエストで、他のリクエストと同じように、役に立つ3つの情報を伴ってサーバーに届きます。

時刻。 サーバーはリクエストが届いた時刻を秒単位で記録します。

IPアドレス。 どのリクエストもインターネット上のどこかから届きます。IPアドレスはおおよその位置に対応づけられ、それが追跡アプリに出てくる市区町村や地域の出どころです。あくまで粗い手がかりで、詳しくはメールの開封場所の精度はどのくらいかで取り上げています。

ユーザーエージェント文字列。 MDNはUser-Agentリクエストヘッダーを、リクエスト元のソフトウェアのアプリケーション、オペレーティングシステム、ベンダー、バージョンをサーバーが識別できるようにする特徴的な文字列だと説明しています。メールの文脈では、デスクトップではなくスマートフォンの特定のメールクライアントで開かれた、という程度までわかることが多いものの、多くのメールプロバイダはこの情報を削除したり、大まかな値に置き換えたりします。

追跡するメールごとに専用のピクセルアドレスが割り当てられるので、サーバーは「どれかのメッセージ」ではなく「どのメッセージ」が開かれたのかまで判別できます。

ピクセルからわかること

  • メッセージ内の画像が少なくとも1回読み込まれたこと。
  • それがいつ起きたか、おおよその時刻。
  • IPアドレスがプロキシに隠されていない場合の、おおよその位置。
  • リクエストに十分な情報が含まれている場合の、メールクライアントやデバイスの種類。
  • そのあと再び起きたかどうか。たいていはメッセージが読み返されたか、転送されたことを意味します。

トラッキングピクセルからはわからないこと

ここが、誠実な追跡アプリと調子のいい宣伝文句の分かれ目です。

  • 読まれたかどうかはわかりません。 画像を読み込むことと文章を読むことは別の出来事です。1秒のプレビューでもピクセルは読み込まれますし、テキスト表示でじっくり読んでも何も読み込まれません。
  • 誰が開いたかはわかりません。 相手がメッセージを転送すれば、転送先での開封もあなたのメールの開封として見えます。リクエストに名前は付いていません。
  • どれくらい見ていたかはわかりません。 タイマーはなく、画像が読み込まれた瞬間だけが残ります。
  • クリックや入力の内容はわかりません。 ピクセルは画像のリクエストであって、スクリプトではありません。メールボックスの中身も、他のメッセージのことも見えません。
  • 番地まではわかりません。 IPによる位置推定は、よくても地区レベル、多くの場合は市区町村レベルの推測です。

多くの人がまず思い浮かべる標準機能との比較は、開封確認とメール追跡の違いにまとめています。

画像プロキシが状況を変えた

長いあいだ、ピクセルのリクエストは受信者の端末から直接届いていました。大手2社のメールプロバイダについては、もうそうではありません。

GmailはGoogle経由で画像を配信します。 GoogleのWorkspace向けドキュメントには、ユーザーがメールを開いたとき、Gmailはメッセージに含まれる画像をGoogleの安全なプロキシサーバー経由で配信すると書かれています。Gmailの利用者向けヘルプページにも、初期設定では画像付きのメールを受け取ると画像が自動的に表示されること、そして送信者は画像の読み込みを使って利用者のコンピュータや位置の情報を得ることはできないと書かれています。送信者にとっての実際的な結果ははっきりしています。Gmail相手なら開封と時刻はたいてい取得できますが、位置はGoogleのものであって読み手のものではないので、誠実なアプリはこれを不明と表示します。

Appleは誰かがメッセージを開くかどうかに関係なく画像を先にダウンロードします。 Appleのメールプライバシー保護のページには、「メール」が初期設定でリモートコンテンツをバックグラウンドでダウンロードすること、それはメールを開いたかどうかに関係なく行われること、そして2つの別々のリレーを経由させることで、あなたが誰であるかと、あなたが受け取ったコンテンツの両方を同時に知る当事者がいないようにしていることが説明されています。ピクセル追跡がかつてほど当てにならなくなった最大の理由がこれで、別記事のApple Mailのメールプライバシー保護とメール追跡で詳しく扱っています。

同じメールでもメールアプリによって結果が変わる理由

受信者のメールの読み方送信者側に通常見えるもの
「メールでのアクティビティを保護」がオンのApple Mailほぼ何も見えない。実際の開封がAppleの先読みに隠れるため
「メールでのアクティビティを保護」がオフのApple Mail開封時刻に加えて、おおよその位置とデバイス
GmailアプリまたはウェブのGmail開封時刻。ただし位置は不明と表示される
デスクトップの従来版Outlook受信者が画像のダウンロードを選ぶまで何も見えない
企業のメールゲートウェイまちまち。受信した時点で画像を読み込むゲートウェイもある

Microsoftの画像の自動ダウンロードのブロックに関するサポートページには、Outlookは初期設定でインターネットからの画像の自動ダウンロードをブロックするよう構成されていると明記されており、その理由の1つとしてトラッキングピクセルを避けることが挙げられています。Microsoftはトラッキングピクセルを、メールを読んだことを送信者に伝えうる目に見えない画像だとまで説明しています。つまりOutlookの受信者から何も返ってこないのは、不具合ではなく普通のことです。詳しくはiPhoneでOutlookのメールを追跡するをご覧ください。

そもそも開封が記録されないケース

画像のブロック以外にも、ごくありふれた状況が沈黙を生みます。

  • 受信者が画像を持たないテキスト版を読んでいる。
  • 勤務先のセキュリティシステムが配信前にリモート画像を取り除いている。
  • メッセージが迷惑メールに入り、一度も開かれていない。
  • 通知で件名だけを見て、あとでいいと判断し、結局開かれていない。

どれも追跡の不具合ではありません。画像が取得されることに全面的に依存する手法の、正直な限界です。

Email Trackerは厄介な部分をどう扱うか

Email Trackerは、Apple Mail自身の作成画面を使ってアプリ内で作成したメールにピクセルを追加し、そのピクセルが読み込まれたときに通知するiPhone用アプリです。誤った開封は開封がないことより悪い、という考え方から、いくつか意図的な選択をしています。

  • Appleの自動的な先読みを開封として報告せず、無視します。起きていない開封が自信満々に表示されることはありません。
  • 自分のデバイスとネットワークから届いたリクエスト、およびメールの作成から最初の60秒以内の動きを無視します。自分の作成や送信の操作が記録されることはありません。
  • 同じ読み手による5分以内の繰り返しの読み込みは、1回の開封として数えます。
  • Gmailの受信者については開封と時刻を表示し、Googleのデータセンターを表示する代わりに位置を不明と記します。

その結果、ほかのツールより静かな結果になりますが、そのぶん手がかりとして信頼できます。初めて設定するならiPhoneでメールの開封を追跡する方法から、開封が表示されないときはメールの開封が表示されない理由を順に確認してください。

Email TrackerはApp StoreのiPhone向け無料ダウンロードで、サブスクリプションは任意です。Gmail、Outlook、iCloud、Yahooをはじめ、Apple Mailに追加済みのどのアドレスでも使えます。


メールが届いたかどうか、もう悩まない

App StoreからEmail Trackerを無料でダウンロードして、次にメールが開封されたときに通知を受け取りましょう。

iPhone、iOS 17以降。ダウンロードは無料、サブスクリプションは任意です。